○まえがき、自己紹介
皆さまお疲れ様です。
有難いことに、この度Windtoshさん企画の「JAPAN ANALYZING FESTIVAL '26 」にSpecial Actとして参加させて頂く事になりました。私は3位決定戦を担当し、本記事がサイトに掲載されます。
企画の公式サイトはこちらです。
軽く自己紹介をしますと、私はsg2と申します。鹿島アントラーズのファンをやっていますが、サッカー観るのが好きなだけの一般人です。
本企画は僕がファンとして応援しているレビュワーさんや現役選手をはじめ現場に関わっている方がメンバーに多く名を連ねています。豪華なメンバーに混ぜて頂き恐縮ですが、精一杯書きましたので最後までご覧頂ければ幸いです。
○両国のこれまでの戦い
本記事執筆にあたり、3位決定戦で対戦した両国が戦った本大会の試合を全部観ておきました。雑感をXにて投稿しましたので、そのリンクをまとめておきます。
フランス
GS第1節
https://x.com/fullbacklover/status/2082304624690921542?s=46
GS第2節
https://x.com/fullbacklover/status/2081323057990480210?s=46
GS第3節
https://x.com/fullbacklover/status/2081427444658307369?s=46
ベスト32
https://x.com/fullbacklover/status/2073327656083624274?s=46
ベスト16
https://x.com/fullbacklover/status/2073544066483327227?s=46
ベスト8
https://x.com/fullbacklover/status/2075339783891788237?s=46
ベスト4
https://x.com/fullbacklover/status/2082133692441591930?s=46
イングランド
GS第1節
https://x.com/fullbacklover/status/2082307193265869062?s=46
GS第2節
https://x.com/fullbacklover/status/2082307861540122789?s=46
GS第3節
https://x.com/fullbacklover/status/2081777268498829710?s=46
ベスト32
https://x.com/fullbacklover/status/2072634005368013123?s=46
ベスト16
https://x.com/fullbacklover/status/2075587654700458095?s=46
ベスト8
https://x.com/fullbacklover/status/2076091011823276364?s=46
ベスト4
https://x.com/fullbacklover/status/2077741948115542263?s=46
○スタメン

フランスはメニャン、オリーセ、ラビオ、ムバッペ以外の7名をベスト4から入れ替えました。
対するイングランドもグエイ、スペンス、ライス、ロジャーズ以外の7名をベスト4から入れ替えています。
○試合の振り返り
それでは振り返りに入りますが、この試合はお互い準決勝でショッキングな負け方をした後に行われた3位決定戦。その為両軍モチベーションが著しく低かった事には留意が必要です。
イングランドの方がフランスより1日遅く準決勝を戦った為疲労の影響が出やすいように思えましたが、テンション高く試合に入れたのはイングランドの方でした。
試合はいきなり動きます。

3分、フランスが自陣からのスローインを行いラビオがドゥエにフリック。ドゥエは右に展開しようとするもライスに奪われます。ライスはそのまま運んでバイタルから強烈なミドルを叩き込み先制しました。
ライスの外をラッシュフォードが回った事でギュストはホルダーに寄せられず、エメリも寄せが甘かった事も失点の要因ですが、図を見て分かる通りフランスはボールを失った瞬間中盤が空洞化しています。理由はラビオが左に流れて攻撃に関わっていた事ですね。過去の試合でもこの形はありましたが、自陣でボールを失うとこのような失点を招きかねないリスクを孕んでいる事も分かります。
その後も、フランスからボールを奪ったイングランドがカウンターで刺していく形は続いていきます。

図はフランスが保持を行ったシーンです。
ラクロワが相手IH-DH間を通す素晴らしい縦パスを見せますが、ムバッペのワンタッチパスがコンサに奪われます。
図を見て分かる通りこの時フランスのSBは高い位置を取っている為、その裏は当然空いてきます。
図のシーンではコンサが運んでからサカを裏に走らせるキラーパスを刺す事によりチャンスを生み出しました。
前半はこの形が非常に多く、イングランドのCBの潰す性能が輝いていました。
フランスは上記の2シーンであった通り、配置のバランスを崩して人数を前にかける攻撃を行いますがその分カウンターには弱く、左右両方、そして中央からも何度もやられていました。
カウンターを防ぐ為には奪われた瞬間にボールに圧をかけてパスコースを潰していく事が重要ですが、モチベーションの問題もあってか奪われた後のネガトラ局面においてホルダーに圧をかける意識はかなり薄く、棒立ちしている選手も多数見られました。前線のプレスバックもかなり甘かった為、好き放題殴られる事を許容してしまったと考えています。
イングランドも同じように自陣で失うシーンは何度もありましたが、その時はアンカーのライスが何度も飛び出して攻撃の芽を摘んでいた事もあり前半では失点には至りませんでした。

また、イングランドは保持局面からもチャンスを創出できていました。
11分のシーンを参考に考えてみましょう。
フランスの非保持は4-2-3-1のような形です。アンカーのライスをシェルキが、相手IHはCHが管理する形ですね。シェルキはあまり2CBに出て行かない為、圧をかけられるのはCFの1枚。そして図のシーンでは、流れでSH役をやっているムバッペがCBのコンサを意識しています。
プレッシングをかけるときSHが外切りで相手CBに圧をかける形は過去の試合でも見られました。
過去の試合ではクンデとウパメカノに広い守備範囲を担当してもらう為右で縦スライドを多く起こしていましたが、今日は彼らが居ない為左右どちらのSHが前に出るかはシーンによって変わっていたように思えます。
ここでSHが相手SBを捨てて前に出て、SBが連動しないとなると相手SBがフリーになります。
図のシーンでは、ヘンダーソンがRSBのクアンサーに浮いたパスを供給しプレス回避を行いました。これが出来ると相手の前線4枚の背後を取れる訳ですから、イングランドは後ろの相手6枚を晒す事が出来ます。図のシーンでは、クアンサーが切り返して内側に持ち運び相手を引きつけ、ロジャーズ経由でサカを裏に走らせる事でサカがネットを揺らす事に成功しました。惜しくもサカがオフサイドとなり得点は認められませんでしたが、SBがフリーでパスを引き取る形は左右問わず再現性を持って行えており、この事はイングランドが攻勢を強めた理由の1つと言えるでしょう。
イングランドは19分、左CKから追加点を獲得します。フランスのCK守備はマンツーマンの原則で、ヘディングを狙う6枚だけでなくペナ脇を取る2枚もマンマークする徹底ぶりでした。イングランドはそれに対しロジャーズとラッシュフォードが高い位置を取りマイナスにスペースを作ります。フランスはこの2人のマーカーに加えてゾーンマーク役の2人もニアの低い位置に居た為、1番抑えるべき場所に選手が1人もいませんでした。この得点はそこにコンサが流れて完璧なヘディングを叩き込み生まれたという形で、マンツーの策は完全に裏目に出たと言っていいはずです。。ここまで覚悟の決まったマンツーで簡単に剥がされてしまうと失点は必至であり、コンサのマーカーだったラビオにとっては悔しさが残るシーンだったでしょう。
勢いに乗るイングランドは37分にもカウンターから得点。ルーズボールを拾ったサカへの圧が非常に緩かった印象です。
そして前半ATには4点目を記録しました。この得点について、図解を用いて考えてみましょう。

このシーンで大きな役割を話したのがエゼです。彼がIHの位置から降りて縦パスを引き取り反転して対面のエメリを剥がす事で、ラビオがロジャーズを捨てて前に出ざるを得なくなり、連動してラクロワがロジャーズを管理する状況を作り出しました。相手CBが前のめりになった事で裏が空き、そこにサカが走り込みフィニッシュという形ですね。
エゼはサイドフローしたりブロックの外で受けたりと様々な形でビルドアップに絡めていた他、左サイドで前進できた際はチャンネルを狙う動きも見せており、イングランドの快進撃を陰で支えていたと思います。
前半を受け、フランスは怒りの4枚替え。コナテ、テオ、シェルキ、ドゥエを下げウパメカノ、ディーニュ、デンベレ、バルコラを投入し、前半からプレスの掛け方を変更。シンプルに2FWを相手2CBに当てる数的同数のプレッシングを行います。

その変更はいきなり吉と出ます。48分、ウパメカノが奪った所から運び、オリーセを経由してムバッペがDFの背後でパスを引き取りフィニッシュ。1点を返します。
その後もフランスはハイプレスをかけていきます。何度か裏返されかけましたが、相手の保持の時間を減らす事自体には成功。敵陣で奪ってから4-1-2-3のアンカー脇を活用するカウンターという局面を作り出す事で、チャンスの数が前半より増えていました。
そしてフランスの保持局面からのチャンス創出数も前半とは桁違いでした。その原因を探っていきましょう。

前半のイングランドは、図のように中央にパスを通させてから外に誘導して嵌め込んでいく意識を持ってプレッシングをかける事が何度かありました。

一方、2失点目のシーンを見てみると分かるように、後半のイングランドはプレッシングをかける意識が減っていました。ミッドで構えられれば良かったのですが、サカがラビオを意識するもパスコースを切るほどの圧はかけられず背後のスペースを明け渡してしまっているように中途半端な対応が続いており、フランスに押し込まれてしまいます。ここはもうモチベーションの問題でしょう。
フランス側はムバッペがサイドに流れる事が増えており、前半中央のCBに捕まっていた反省からサイドに人数をかけるという形で修正があったかもしれません。
構造以外の面では、コンディションが良くなかった中で前半広い守備範囲を守らされていたライスも疲労困憊のようであった事、後半から入ったバルコラがプレスバックを頑張っていた事も要因となりそうです。ボールを奪えたらお互いカウンターが刺さりやすく決定機を手にする可能性が非常に高い展開でしたから、ボールを奪い返せる存在はとても大事でした。
3点目はイングランドの左サイド裏から生まれます。イングランドは後半頭からワトキンスを投入しましたが、彼は背後を狙う役割を果たす為高い位置を取っており、プレスバックは行う事が少なかった印象です。エゼの圧も非常に緩かったと言わざるを得ず、非常にカウンターが刺さりやすい状況でした。
フランスの同点弾もチラつく展開でしたが、イングランドは80分にベリンガムを投入。これによりもうひと波乱生まれます。
85分、ベリンガムのキャリーをきっかけにPA内に侵入したスペンスが倒されPKを獲得。これをサカが鎮め、彼のハットトリックで5点目が入ります。
スペンスのスピードはこの試合で相当効いていました。後半は彼を走らせる形から何度も陣地回復する事が出来ていましたし、何度かフランスのカウンターを止める事が出来ていました。
フランスは数的同数のプレッシングが仇となった失点です。後半頭からのこの戦術変更は準決勝スペイン戦と同じ変化ですが、その試合ではダニオルモがフリーになりやりたい放題やられてしまった認識です。今回は途中までは効いていたものの、ベリンガムが投入されると流れが一変。彼がフリーになる事でPKを招いてしまいました。
ベリンガムの影響でイングランド陣地にボールが長くあった状況が変化しボールがピッチ全体を素早く行き交う流れが活性化された事により、ラストはカオスな展開に。お互いプレスバックの意識が薄い為、ボールを奪ったチームは敵陣に自軍の選手が多く敵軍の選手が少ないという最高の条件を手にします。
お互い決定機を繰り返した後、スペンスが負傷でピッチを離れていた事により空いた右サイドを使ってフランスが1点を返します。しかしワトキンスへのロングボールのセカンドを回収したベリンガムがピッチの半分を走り切りフィニッシュ。イングランドが6点目を手にしたこの瞬間笛が鳴り、常識外れな90分が終了。イングランドが3位の座を勝ち取りました。
○あとがき
双方試合を通してネガトラ局面でボールにアタックする意識が薄かった為、ボールを握った方がカウンターを食らい危機に陥る展開だったように思えます。
また、後半のフランスの巻き返しを見て、彼らにとって大事なのはやはり局面が激しく移行される展開なのだと再認識させられました。前線がプレスバックを行わない為即時奪回とはいかないものの、実はそれが罠だったのだろうという風に考えています。後ろが頑張って奪ってくれれば相手が間延びした上、破壊力のある前線のメンツが前に残っている状況を作り出せます。そこからのカウンターはやはり強力で、見ていてとても楽しかったですね。
レビューとしてのあとがきはこれで終わりですが、最後に企画に参加しての感想を少々。
リアタイ時にこのカオスな展開を見せつけられた時はどう記事にすれば良いのか正直怖くなりましたが、振り返って見ると学びがありました。
こういう試合は気持ちが全てだという正論で片付けられがちですが、メンタルの問題が具体的にどのような形で現れているのかじっくりと眺めるのは大事な経験でしたし、前後半で大きく展開が変わった試合を詳細に振り返る事で、試合の中で何が変わったのか考える事が出来ました。こういう考えを働かせるのは非常に大事ですし、普段だったら見返さないであろうこういう試合をじっくり見返すのも、意外とサッカー観を豊かにする事に繋がるのではないかと思いました。こういう企画は書き手としても意義があるものだなとレビュワーの立場として認識できたのは嬉しかったですね。
それでは本企画を動かし、自分をお誘い頂いたWindtoshさんへの感謝を込めましてこの記事を締めさせて頂きます。
最後までご覧いただきありがとうございました。
以下、見返し中に自分が取っていたメモです。
1' キックオフはキックアンドラッシュ
1' スペンスが絞って受けてプレス回避
3' ドゥエからシェルキへのパスをライスが潰してそのまま運んでミドル。ギュストを釣ったラッシュフォード、ラビオが高い位置取ってた為カウンターに脆弱、ライスの質。
5' コナテが左側に運びラビオ経由でドゥエに展開
6' コンサが奪ってSB裏にサカを走らせる
7' 左CKはライス。守備はマンツー
11' ドゥエがクアンサー背負って受けてテオに展開。クロスの溢れのシェルキはGKがセーブ。
11' ヘンダーソンがドゥエ裏のクアンサーに縦。裏にサカを走らせてネットを揺らすもオフ。
14' エメリが奪って縦刺して、再度ムバッペから受け取りドゥエに展開
18' グエイが潰してトニーへの縦からカウンター。エメリが列上げしてた為中盤ガラガラ
19' CKから追加点。2枚がゴール側に抜けてスペース作り、コンサが回ってラビオ置き去り
ペナ枠の2枚にもマンツー対応、残り2枚もゴール手前だから負けたら終わり。
20' 迂回してギュストに渡すがエゼがジャンプ、空いたエメリはライスが潰す。
21' エゼがサイドフローからトニーを裏に走らせる。オリーセの対応は中途半端
28' ロジャーズをラビオが潰してエメリドゥエと繋いでムバッペを裏抜け。シュートはグエイがカバー。ドゥエの縦抜けのスピード◎。
33' スペンスラッシュフォードと繋いでチャンネルでエゼが受けてスペンスを裏に走らせるが通らず。
33' カウンター、ギュスト裏でラッシュフォードが受けて切り返し、バイタルからミドルを放つ。
35' ドゥエからラビオが手前で受けてSB裏にムバッペを走らせる。シュートはGKがナイスセーブ。
36' 奪われた後誰も走らずトニーがSB裏のラッシュフォードに展開。サカと繋いでシュートを繰り返しサカがフィニッシュ。
41' ギュストとオリーセがパス交換でプレス回避するも、ライスがカバーしてパスをインターセプト。
44' 平行でラビオが受けて、シェルキオリーセギュストと展開。クロスは通らず。
45+1' エゼが反転してエメリを剥がし相手を釣り出し、裏にサカを走らせて縦パス。サカのフィニッシュで4点目。
45+5' 右CKはサカ(インスイング)。
45+5' 前半終了 フランス0-4イングランド
46' コナテ、テオ、シェルキ、ドゥエ⇄ウパメカノ、ディーニュ、デンベレ、バルコラ
ラッシュフォード⇄ワトキンス
46' キックオフはトニーに飛ばす
48' 📝
50' デンベレが降りてスペンス釣り出して裏にオリーセ
51' 蹴らせて回収
52' プレスバックするバルコラが奪って縦に刺す
54' ムバッペが外で受けてバルコラが裏抜けしてフィニッシュ。2点目。ムバッペを放置しすぎ
58' 外回しでスペンスとワトキンスがパス交換し裏にスペンスが抜ける。クロスはウパメカノがブロック。
63' 外経由からあっさりムバッペにボールが通る
64' エメリ経由で展開すると、バルコラがムバッペ経由でデンベレに横断。デンベレのシュートはGKがキャッチ
66' デンベレが運んでスリーオンラインでムバッペが受けてオリーセとパス交換。シュートで3点目。ワトキンスのCF化よくない
73' トニーへの縦パスはウパメカノが潰してファウル
75' エゼのマークがマークを成しておらずエメリへのパスが通る。デンベレ経由でギュストに展開、クロスにオリーセが合わせる。
80' エゼ、トニー⇄ベリンガム、アンダーソン
ワトキンスCFベリンガムトップ下、ロジャーズLSHの4-2-3-1。
80' 奪って即縦パスを拾ったワトキンス。ベリンガムに落として運ばせて再度受け取る。運んでベリンガムにポケ凸させる。ベリンガムのシュートはセーブされる。
85' フリーのベリンガムからロジャーズに展開。スペンスが受けとって倒れてPK獲得。サカが決めて5点目。
90+2' グエイ⇄チャロバー
90+3' ラクロワが切り返してラビオオリーセと縦。デンベレに展開するがクロスはチャロバーが対処
90+6' スペンスが負傷で戻れない中、ベリンガムへの縦パスをウパメカノがカットしデンベレに展開。デンベレのフィニッシュで4点目。
90+8' ワトキンスへのロングボールのセカンドを拾ったベリンガム、ピッチの半分運んでラクロワを完全に剥がしフィニッシュ。6点目。
